Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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げんじゅつてんまたろう

幻術天魔太郎

野村 胡堂

Lesen Sie 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.616 Zeichen · 90 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうだ、太郎、月子、少しはおどろいたようだな」

ふりかえった心外道人は、おもしろそうにわらうのです。

「道人さま、これはどうしたことでしょう。それが幻術とやらなら、どうぞ私ども兄妹に教えてください」

天魔太郎は舟ぞこに手をついて、熱心におねがいするのでした。

「教えるとも、おしえるとも。だが、修業はなかなかむずかしい。まず一年ぐらいは山にこもって、死んだ気になって修業しなければなるまい。それからひととおりの幻術修業はできても、将軍家光を討ってとるのはむずかしい仕事だ」

心外道人は舟をこがせて海岸ぞいに南へ南へと落ちのび、ほどよいところに上陸して、丹沢山の奥ふかく、とある洞窟に太郎月子の兄妹をみちびいたのは、それからじつに五日めの昼すぎでした。

「修業ちゅうは、しばらくここで暮すのだ。少しの不自由はあるだろうが、そのかわり、四季おりおりのながめは、関東第一といってもよい」

洞窟のまえの台地に立つと、ちょうど今をさかりの山ざくらの花がすみが、源氏雲のようにたなびいて、その間から菜の花の黄毛氈をしいた里の風物。とおくには玉川の銀の帯のかなたに江戸の町まちまでが、ほのかに見えているのです。