Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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げんじゅつてんまたろう

幻術天魔太郎

野村 胡堂

Lesen Sie 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.616 Zeichen · 90 Bildschirme

Aozora Bunko

「なんですそれは、教えてくださいよ」

ものずきでは人におくれをとらぬ虎吉が、一番さきに膝をのりだしました。

「将軍家光をたすけて、父上駿河大納言につめ腹をきらせた将軍家のゴマすり老中や、お茶坊主のような家来に、一人ひとりつらい目を見せてやりたいのだ」

「たとえば?」

「松平伊豆守、酒井左ヱ門尉、ならべると数かぎりもないが、第一番にシャクにさわるのは、国松君といわれた幼少のころから、父上を目の敵にして、とうとう死地においこんだ大久保彦左ヱ門」

「えッ」

きくものはみんなキモをつぶしました。

大久保彦左ヱ門忠教といえば、徳川家康以来の名臣で、十六歳のときから戦場の功名数しれず、大名にも取りたてられるはずのところを、みずから八千石の旗本にあまんじ着坐席ご免の将軍ご意見番として、江戸じゅうにも人気ある老武士です。

その人気者の老人を、親の敵とねらう天魔太郎にも、またそれだけの理由がありました。家光を将軍のあととりにおしたてて、駿河大納言忠長をしりぞけたのは、私心はなかったにしても、大久保彦左ヱ門と春日局のたくらみで、忠長の子の天魔太郎からいえば、まさにこれはふぐたいてんの親の敵です。