Japanische Klassiker mit Furigana
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げんじゅつてんまたろう
幻術天魔太郎
野村 胡堂
Lesen Sie 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.616 Zeichen · 90 Bildschirme
そっと膝のそばへ茶わんをすべらせたのは、かわいらしい女の子のこえです。
ハッとおどろいてふりむくと、なんとそれは、髪を切りさげて、むらさき色の単衣、赤い帯はしめておりますが、顔をみると、目も鼻も口もなく、お白粉をぬったしゃもじに、着物をきせたようなノッペラ坊です。
「な、何者だ、おまえは」
大久保彦左ヱ門、さすがにおどろきはしませんが、膝をたてなおしてどなりつけました。天下三大音とうたわれた大きな声、たいがいの者ならたったそれだけで目をまわすのですが、ノッペラ坊の少女は、
「お化けよ」
と、どこから声がでるのか、口も目も鼻もない少女が、かわいらしい声で答えるのです。
「おのれ、妖怪。大久保彦左ヱ門をみそこなったかッ」
手をのばすとノッペラ坊のむなぐらをつかみ、引きよせざま、パッと投りました。年はとってもさすがに非凡の腕まえ、まともにゆくと、唐紙をつきやぶって、縁がわに叩きつけられたことでしょう。
が、ノッペラ坊は投げられながら二つばかり宙がえりして、たたみの上にヒョイと立ちます。よく見ると、それはちがい棚においてあった、銀の香炉ではありませんか。
「おじいさん、勇ましいぜ」