Japanische Klassiker mit Furigana
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げんじゅつてんまたろう
幻術天魔太郎
野村 胡堂
Lesen Sie 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.616 Zeichen · 90 Bildschirme
見ると反対がわから、ケシ坊主の三ツ目小僧がひとり、彦左ヱ門のまえへ来て、ペロリと赤い舌をはくのです。
「おのれッ」
と、いうしたから、
「肩でももんでやろうか。じまん話をかいていると、つかれるぜ」
ふりかえると、カッパ小僧、大天狗、小天狗、官女、ロクロッ首、見越の入道、さながら相馬の古御所の妖怪変化が、うしろから、横から、もりあがるように重なりあって、八畳の部屋いっぱいに、ひしめくのです。
「や、でたな、化物ども。大久保彦左ヱ門の手なみを見ろ」
彦左ヱ門は、もはやこれまでと思って、左がわにおいた、寸のびの一刀を引きぬきざま、左から右へ、サッとひとなぎ、必殺の太刀をふるのです。
「ハッハッハッハ、ハッハッハッ」
と部屋じゅうにとどろく笑いの大合唱、彦左ヱ門の一刀は手ごたえもなく右にながれて、部屋のなかはパッと明るくなり、妖怪変化はおろか、気のきいた猫の子もおりません。
「ハッ、ハッ、ハッ、彦左ヱ門おこったか」
笑いの合唱はあきらかに縁がわから庭にうつりました。
一刀をうしろに引いて、障子をサッと開くと、どこからさすのか、明るい光のなかに、藤色のふりそでに精好の袴、気品すぐれた少年がひとり、灯籠の上につったって、何やら印をむすんでいるのです。