Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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げんじゅつてんまたろう

幻術天魔太郎

野村 胡堂

Lesen Sie 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.616 Zeichen · 90 Bildschirme

Aozora Bunko

智恵伊豆と人魚

「や、おのれか。曲者ッ」

彦左ヱ門はとびだして一刀に切ってすてようと思いましたが、なんとしたこと、部屋一ぱいに氷かビードロをはりつめたようで手を動かすことも、足をはこぶこともできません。

「ぶれいだぞ、彦左」

灯籠のうえの少年はいうまでもなく天魔太郎、ここで大久保彦左ヱ門にうらみを果たしにきたのですが、このがんこ一徹の老武士を見ると、心のそこからしたしみがわいてきて、死期のちかいものを殺す気にもなりません。

「おまえはなんだ」

「そのほうには主人すじ、駿河大納言の一子、天魔太郎だ」

「な、なんと……」

彦左ヱ門もさすがにキモをつぶしたようです。

「あのじじいをやっつけましょうか」

石灯籠の下から、天魔太郎のすそを引いたのは、小僧の虎吉でした。

「いや、ほっておけ。にくいおやじだが、徳川家のためには無二の忠臣だ」

天魔太郎はすそをかえして、サッととびおりました。

「まて、まて」

「彦左、しばらくその白髪首をあずけたぞ」

天魔太郎は、目ばかりパチパチやっている彦左ヱ門をうしろにのこして、夏の夜の闇のなかにすがたをかくしてしまいました。

智恵伊豆と人魚

大久保彦左ヱ門は、徳川家のためには無類の忠臣でしたが、徳川の家を思うあまり、国松君の駿河大納言をしりぞけ、その兄弟の家光を守りたてて三代将軍を継がせたので、もとよりなんの私心も