Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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げんじゅつてんまたろう

幻術天魔太郎

野村 胡堂

Lesen Sie 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.616 Zeichen · 90 Bildschirme

Aozora Bunko

「おのれ、こしゃくなッ」

覚心坊は壇の上の香炉に、三つかみほどの香を打ちこみ、モウモウと立ちのぼる煙のなかに、ジュズをおしもんで祈りはじめました。

が、相手の天魔太郎は、南のやぐらの上に、印もむすばず、呪文もとなえず、小唄でもうたいだしそうなすずしい顔をして立っていましたが、やがて時分をはかって

「ゆくぞ、ご坊」

刀の下緒をといて、北のやぐらめがけてサッとほうりました。

矢来の外の群衆が、ドッとどよみをうったのもむりはありません。天魔太郎が空中にほうったモエギ色の下緒は、二ツ三ツもんどり打つとみるや、一転ごとに大きくなって、最後には三間(六メートル)あまり、青色の大蛇となり、覚心坊のやぐらにからみつき、鏡のごとき二つの目をみひらき、紅蓮のほのおをはいて、ユラユラとやぐらの頂上にはいあがるのです。

「や、おのれ、ぶれい千万」

覚心坊はジュズをあげて、大蛇の頭をハタとたたきましたが、大蛇はからだを一ひねり、壇上にはいあがると、覚心坊のからだを、下から上へキリキリと巻きあげ、坊主頭の上に、臼のごときかま首をのせて、カッと火焔をはきかけるのでした。

「ワーッ」