Japanische Klassiker mit Furigana
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げんじゅつてんまたろう
幻術天魔太郎
野村 胡堂
Lesen Sie 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.616 Zeichen · 90 Bildschirme
私の愛着をすてて調伏のほかはござるまい」
「そういうおまえは、いやご僧は?」
「太郎どの、わすれたか、おん身は拙僧のひざの上であそんだこともあるはず。――喜多院の天海じゃよ」
「アッ、天海大僧正、どうしてここへ」
それはじつに天下の名僧、川越の喜多院を修し、日光山を経営し、上野の寛永寺を建立し徳川家康の軍師とも師父ともなって、三百年太平のもといをきずいた天海僧正だったのです。
そのとき天海は百六歳、からだはまことに枯木のごとくでしたが、学徳一世を圧して、精神力は火のごとく、いかなる魔法も幻術も、この大人物のまえには、指をさすこともできなかったのです。
「太郎どのが一味と語らい、将軍家光公に仇をするときき、松平伊豆どのの急使をうけて、たったいま江戸からかけつけてまいったのじゃ」
「では、私の一念もごぞんじのはず。父大納言のかたき、家光に一太刀うらむのをさまたげられるのか」
「いや、それはならぬ。上さまもあやまちはあったが、駿河大納言さまのあやまちは、さらに大きい。配所に窮死されたのはいたましいが、自業自得ともうされぬことはない」
「でも」
「さて、ききわけのない。