Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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げんだん

幻談・観画談 他三篇

幸田 露伴

Lesen Sie 幻談・観画談 他三篇 (げんだん) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.544 Zeichen · 161 Bildschirme

Aozora Bunko

と思わず小声で言った時、夕風が一ト筋さっと流れて、客は身体の何処かが寒いような気がした。捨ててしまっても勿体ない、取ろうかとすれば水中の主が生命がけで執念深く握っているのでした。躊躇のさまを見て吉はまた声をかけました。

「それは旦那、お客さんが持って行ったって三途川で釣をする訳でもありますまいし、お取りなすったらどんなものでしょう。」

そこでまたこづいて見たけれども、どうしてなかなかしっかり掴んでいて放しません。死んでも放さないくらいなのですから、とてもしっかり握っていて取れない。といって刃物を取出して取る訳にも行かない。小指でしっかり竿尻を掴んで、丁度それも布袋竹の節の処を握っているからなかなか取れません。仕方がないから渋川流という訳でもないが、わが拇指をかけて、ぎくりとやってしまった。指が離れる、途端に先主人は潮下に流れて行ってしまい、竿はこちらに残りました。かりそめながら戦ったわが掌を十分に洗って、ふところ紙三、四枚でそれを拭い、そのまま海へ捨てますと、白い紙玉は魂ででもあるようにふわふわと夕闇の中を流れ去りまして、やがて見えなくなりました。