Japanische Klassiker mit Furigana
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げんだん
幻談・観画談 他三篇
幸田 露伴
Lesen Sie 幻談・観画談 他三篇 (げんだん) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.544 Zeichen · 161 Bildschirme
境内の変にからりとしている訳もこれで合点が行って、あるべきものが亡せているのだなと思いながら、庫裡へと入った。正面はぴったりと大きな雨戸が鎖されていたから、台所口のような処が明いていたまま入ると、馬鹿にだだ濶い土間で、土間の向う隅には大きな土竈が見え、つい入口近くには土だらけの腐ったような草履が二足ばかり、古い下駄が二、三足、特に歯の抜けた下駄の一ツがひっくり返って腹を出して死んだようにころがっていたのが、晩成先生のわびしい思を誘った。
頼む、
と余り大きくはない声でいったのだが、がらんとした広土間に響いた。しかしそのために塵一ツ動きもせず、何の音もなく静であった。外にはサアッと雨が降っている。
頼む、
と再び呼んだ。声は響いた。答はない。サアッと雨が降っている。
頼む、
と三たび呼んだ。声は呼んだその人の耳へ反って響いた。しかし答は何処からも起らなかった。外はただサアッと雨が降っている。
頼む。
また呼んだ。例の如くややしばし音沙汰がなかった。少し焦れ気味になって、また呼ぼうとした時、鼬か大鼠かが何処かで動いたような音がした。するとやがて人の気はいがして、左方の上り段の上に閉じられていた間延びのした大きな障子が、がたがたと開かれて、鼠木綿が斑汚れした着附に、白が鼠になった帯をぐるぐるといわゆる坊主巻に巻いた