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Japanische Klassiker mit Furigana

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げんだん

幻談・観画談 他三篇

幸田 露伴

Lesen Sie 幻談・観画談 他三篇 (げんだん) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.544 Zeichen · 161 Bildschirme

Aozora Bunko

そして何だか知らずにハッと思った。すると戸外の雨の音はザアッと続いていた。時計の音は忽ち消えた。眼が見ている秒針の動きは止まりはしなかった、確実な歩調で動いていた。

何となく妙な心持になって頭を動かして室内を見廻わした。洋燈の光がボーッと上を照らしているところに、煤びた額が掛っているのが眼に入った。間抜な字体で何の語かが書いてある。一字ずつ心を留めて読んで見ると、

橋流水不流

とあった。橋流れて水流れず、橋流れて水流れず、ハテナ、橋流れて水流れず、と口の中で扱い、胸の中で咬んでいると、忽ち昼間渡った仮そめの橋が洶と流れる渓川の上に架渡されていた景色が眼に浮んだ。水はどうどうと流れる、橋は心細く架渡されている。橋流れて水流れず。サテ何だか解らない。シーンと考え込んでいると、忽ち誰だか知らないが、途方もない大きな声で

橋流れて水流れず

と自分の耳の側で怒鳴りつけた奴があって、ガーンとなった。

フト大噐氏は自ら嘲った。ナンダこんな事、とかくこんな変な文句が額なんぞには書いてあるものだ、と放下してしまって、またそこらを見ると、床の間ではない、一方の七、八尺ばかりの広い壁になっているところに、その壁をいくらも余さない位な大きな古びた画の軸がピタリと懸っている。