Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうれいせんのひみつ
幽霊船の秘密
海野 十三
Lesen Sie 幽霊船の秘密 (ゆうれいせんのひみつ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.846 Zeichen · 62 Bildschirme
一個だけあけて、皆に廻すがいい」
「たった一個ですか。それじゃ、皆の口に一口ずつも入らない」
船員は不平らしくいって、唾をのみこんだ。
船長は、どうしても一個しか、缶詰をあけることをゆるさなかった。太平洋の遭難船で、半年以上も漂流していた例さえあるんだ。うまくいっても、一ヶ月や二ヶ月は漂流する覚悟でやらないと、計算がちがってくる。なにしろボートのうえには、二十四名の者が、ぎっしりのりこんでいるのだった。
「水だ、飯よりも水が呑みたい。船長、もう一杯水を呑ませてください」
「うん、いずれ呑ませてやる。もうすこし辛抱せい」
船長は、子供にいいきかせるようにいった。だが、実のところ、太陽の直射熱はいよいよはげしくなって、誰の咽喉もからからにかわいてくるのだった。これでは、いくら水を呑んでも足りるはずがない。
「おーい、みんな。ボートのうえに日蔽いをつくるんだ。シャツでもズボンでもいいから、ぬいでもいいものを集めろ。そしてつぎあわせるんだ。そうすれば、咽喉の乾くのがとまる」
船長は命令をくだした。
部下は、それをきくと、元気になったように見えた。手持ぶさたのうえに、がっかりしていたところへ、ともかくも船長からやるべき仕事をあたえられたからであった。