Japanische Klassiker mit Furigana
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いくどめかのさいご
幾度目かの最期
久坂 葉子
Lesen Sie 幾度目かの最期 (いくどめかのさいご) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 59.103 Zeichen · 121 Bildschirme
幾度目かの最期
熊野の小母さんへ。
あなたには、四五年も昔から、よくお便りしてます。けれど、こんな殺風景な紙に、宿命的な味気ない字を書くことは、はじめてです。いつも、信州の紙とか、色のついたアート紙に、或いはかすれた筆文字で、或いは、もっと、面白くきれいな字――いやこれは、おこがましいかな。でも、あなたは、私の字を好んでくれました。――で、お便りしたものです。何故、この紙を選んだか、おわかりですか。実は、あなたにたよりしている気持で、私は、おそらく今度こそ本当の最後の仕事を、真剣になって綴ろうというのです。これは富士正晴氏の手に渡るでしょう。そして、彼の意志かあわれみで同人雑誌のVILLONか、VIKINGに印刷されるでしょう。その活字が、あなたの手許におくられるだろうと思います。VIKINGの同人、宇野氏が、あなたを御存知だから。私はこれを、二十二日、つい六日前に書いた、鋏と布と型、という舞台のものを、もう一度、あらためて、私の最後の仕事にするつもりです。これは、小母さんに関係のないことだけど、その芝居は、もし上演されるなら、私が暫くなりとも籍をおいて、既に愛着を抱いていた、現代演劇研究所で、上演してほしいものです。