Japanische Klassiker mit Furigana
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いくどめかのさいご
幾度目かの最期
久坂 葉子
Lesen Sie 幾度目かの最期 (いくどめかのさいご) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 59.103 Zeichen · 121 Bildschirme
彼が断言したようにその夜には熱は降り、二三日してすっかり回復した私は、ふたたび石段で彼に会うべく元気に家を出た。
その日、私は十分位待つ。石段下まで来ると、もう朝からあつい陽気で寄りかかった石の塀はぬるあたたかく気持が悪い。足音がきこえる。私は躊躇した。彼は私だと気付いているかしら。私は下で待つ事にした。そしてぱったり会う。やっぱり気付かれた。
「やあ、おはよう。もういゝでしょう」
「おかげさまで、有難うございました」
別にたちどまって話をするわけでもなく、さっさと彼は行ってしまう。私は大声で歌をうたいながら学校へ行く。翌日も翌々日も私は会った。が一言か二言、話すだけであった。
彼の姓はわかったけれど名前は知らなかった。私は寝る時に幾度もつぶやいた。
「ササダ、ササダ、ササダ」
夏が来ると、毎年起る脚気に私も姉も苦しんだ。母の意見や私の賛成で、笹田先生に毎日注射をしてもらうことになった。すぐに承諾して下さり、五時頃になると、私の家に彼があらわれることとなった。
そして私は一層、彼に対する愛情が深くなって行き、姉もまた彼の歓心を得ようとしはじめた。
彼の名は明雄と云った。