Japanische Klassiker mit Furigana
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いくどめかのさいご
幾度目かの最期
久坂 葉子
Lesen Sie 幾度目かの最期 (いくどめかのさいご) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 59.103 Zeichen · 121 Bildschirme
それからの生活。私は乱暴であり無軌道であり、投げやりであった。姉はやがて結婚する。私は相変らず月給生活、よごれた職業婦人。月給はもらうとすぐ遊び事につかわれてゆく。本も売る。ガラガラになった本棚に人から借りっぱなしのもの五六冊、さすがに売りかねて、それが将棋倒しになって埃をかぶったまま。ペン先にはインキのあかがこびりついたまま、かたくなっている。毎日、帰りはまっくらになってから。夏の宵を、秋の黄昏を、私は愛してもいない人の腕にからまりついて酒場へ行き、むりに酔い、かなしい旋律に頬を寄せたまま誰とでも踊り、賭事に夢中になろうともした。だが私は自分の脳裏より彼を追い出すことは出来なかった。彼の好きだった曲を道で通りすがりにきいたり、たまに病気になって、病院であのクロロフォルムの臭いをかぐと私は堪らなくなって、その後は前にもまして遊んだりした。いや、もっと私の心がかきみだされることは美しい婦人を見る時であった。街なんかで洋装の素晴しいひとに会うと彼の妻でないかと思う。そしてその通りすがりの見も知らぬ人に憎悪を感じ、嫉妬に似た気持を抱く。小さい子供でもだいていたりするとそれは殊更で、所かまわず私は手で顔を掩ってしまうのだった。