Japanische Klassiker mit Furigana
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しょみんのたべもの
庶民の食物
小泉 信三
Lesen Sie 庶民の食物 (しょみんのたべもの) von 小泉 信三 (こいずみしんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.974 Zeichen · 4 Bildschirme
いたずらに高価な、季節外れの珍味などを出されることなど、好きでない。凝ったもの、ヒネッたもの、変ったものはすべて敬遠するほうである。さして変った物というほどではないが、蝸牛や蛙も御免をこうむりたい。知らずに食うことのないようにと、シナ語の田鶏、フランス語の Grenouille が蛙であることを、私は夙くから調べて用心している。先年、東京のある料理屋で、加賀の白山の狸汁というものを出されて、腹を立てたことがある。第一、汁の味である。私には臭くて、脂こくて喉を通らなかった。けれども、それは好き好きだから、これが結構だというものを、強いて留める必要はない。ただその狸を、加賀白山の産とことわったのは、どういうことだろう。これが松阪の牛肉だとか、何川の鮎とかいうなら誰にもわかることで、それをことわる理由もあるだろうが、人間の常食でない狸の肉に、特にその産地を掲記する主人の心理はどんなものであろう。どうもそこにコケオドカシがあるように思われて、辛抱しかねた。当時そこのことをちょっと書いたら、幸田露伴が見たということで、至極同感だと、人伝てにいって寄越してくれた。