Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おもいでのき

思い出の記

小泉 節子

Lesen Sie 思い出の記 (おもいでのき) von 小泉 節子 (こいずみせつこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.841 Zeichen · 62 Bildschirme

Aozora Bunko

私も一緒に参りました。ヘルンが『おゝ、おゝ』と申しまして、びっくり驚きましたから、何かと思って、私も驚きました。大きい杉の樹が三本、切り倒されて居るのを見つめて居るのです。『何故、この樹切りました』『今このお寺、少し貧乏です。金欲しいのであろうと思います』『あゝ、何故私に申しません。少し金やる、むつかしくないです。私樹切るより如何に如何に喜ぶでした。この樹幾年、この山に生きるでしたろう、小さいあの芽から』と云って大層な失望でした。『今あの坊さん、少し嫌いとなりました。坊さん、金ない、気の毒です、しかしママさん、この樹もうもう可哀相なです』と、さも一大事のように、すごすごと寺の門を下りて宅に帰りました。書斎の椅子に腰をかけて、がっかりして居るのです。『私あの有様見ました、心痛いです。今日もう面白くないです。もう切るないとあなた頼み下され』と申していましたが、これからはお寺に余り参りませんでした。間もなく、老僧は他の寺に行かれ、代りの若い和尚さんになってからどしどし樹を切りました。それから、私共が移りましてから、樹がなくなり、墓がのけられ、貸家などが建ちまして、全く面目が変りました。