Japanische Klassiker mit Furigana
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かいきいっせきばなし
怪奇一夕話
岡本 綺堂
Lesen Sie 怪奇一夕話 (かいきいっせきばなし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.745 Zeichen · 18 Bildschirme
或はこの方が自分達の凄味を加えるのに好都合だと考えて、執殺すどころか、却って画家に感謝していたかも知れない。
支那や外国の幽霊は暗夜に無灯で出没する。それが幽霊の特権であろうと思われるのに、日本の幽霊は警視庁令を守る自転車乗りの如くに必ず灯火を携帯する。外国でも燐光は飛ぶ。支那でも古沼や墓場には燐火が見られる。現に鬼火とか鬼燐とかいう言葉もあるくらいで、詩人は「陰房鬼火青」などと歌っているが、その鬼火は幽霊に伴って出るものとは考えられていない。鬼火が幽霊の提灯代用になるのは、日本独特のものであるらしい。日本の幽霊も室内に現れる場合には鬼火を伴わず、室外又は往来の暗い所で専ら鬼火を照すのを見ると、確に提灯代用であるに相違ない。
日本の伝説によると、狐狸妖怪のたぐいは暗夜でもその姿を見せるという。それであるから、暗夜の途上で行人に出逢った場合、暗中でその容貌衣服等を認め得るものは、妖怪であると鑑定して差支えないと云うことになっている。而も幽霊に限って、暗中にその姿をあらわし難く、いつも灯火を仮りているのも不思議である。その不思議が即ち怪の怪たる所以でもあろうか。