Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像 (あしのうら) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.233 Zeichen · 223 Bildschirme
『今は――』
私は一眼で見渡せる家の中を、もう一遍見直した。
『いま、町まで買い物に行っていますよ』
『ばかに顔色が悪いようですが、何か――』
『これですか』
彼は痩せた手で顔を撫でると、
『病気のせいでしょう……ジフィリスになってしまったんですよ、ふふふふ』
『それは――』
私は眉をひそめて、花子という女からだな、と思いながら、
『そんなら早く癒さなけりゃいかんでしょう、医科を卒られたんだから、自分で静脈注射も出来ませんか……』
『いや、もう病気を癒そうなんて気力は、疾うになくなってしまった僕ですよ。未だにそれだけの気力を持っているほどなら、一ッそネネを殺ってしまっていたでしょう、ふッふふふ……ネネは僕に何一つ思い出を遺してはくれなかったんですが、こんどの女は、こんなに消えぬ思い出を与えてくれたんです、久劫に消えぬ、子孫にまで遺ろうという、激しい恋の思い出の華を……』
私はこの狂気染みた彼の言葉に、返事を忘れてしまった。
(春日は、頭を冒されたのではないか――)
×
早々に引上げた私は、その帰り道、あの崖の細路の中ほどで、一人の女と行き違った。この路の果てには春日の家しかないのだから、その女が私の興味を惹いた花子であることは疑いもないことであったけれど、その女は、余りにも、私の想像とはかけ違ったものであった