Japanische Klassiker mit Furigana
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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像 (あしのうら) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.233 Zeichen · 223 Bildschirme
二
とにかくそのボートのつないであるところに行けば、人間の来る小径がついているであろうと、ともすれば足許の滑りそうな水際を踏しめながら進んで行き、沼の面とすれすれに横に匍い出た大きな紅葉の幹を乗越えた時だった。
今度こそ川島は、流石にギョッと眼をってしまったのだ。
その入り込んだ蔭になっていたボートの艫に、これこそ全く思いもかけなかった少女が独り、真正面にこちらを向いたまま腰をおろしているのである。
向うでもこの異様なハイク姿の川島が、突然森の中から現われたのに気がつくと、川島以上に愕いたらしかった。それはあわてて彼女が立上ろうとした拍子に、平均を失ったボートがいまにも顛覆しそうに揺れ動き、丁度都合よく駈寄った川島が艫を抑えなかったならば、彼女はそのまま青みどろの沼の中に抛出されてしまったに違いないと思われたくらいだからだ。
「危かったですね」
「…………」
川島が艫を抑えてボートを水際に引上げるようにしながら話しかけた。けれど、彼女は舳先の方に蹲んだまま、ただその円らな瞳を二三度瞬いたきりである。
「ここは何んという沼なんですか、ぼくは一寸道に迷っちゃいましてね」