Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
Lesen Sie 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.280 Zeichen · 301 Bildschirme
など影も形もないのであった。
それではやっぱり幻を見たのかしら。怖い怖いと思っているところへ、あの笑い声を聞いたものだから、つい復讐魔を聯想して、何もない白壁の上に、あんな恐ろしい物の影を、我れと我が心に作り出したのかしら。
その晩は解き難い謎を残して、そのまま寝についたが、翌日はうらうらと暖かい日ざしを味方に、まさか真昼間怪しい奴が庭に隠れていることもあるまいと、川手氏は昨夜の謎を確めるために庭へ降りて行った。
太陽の光で、例の白壁の表面を調べて見たが、別に怪しい影もなく、それと見まがう亀裂がある訳でもない。若しあれが幻燈の影だったとすれば、幻燈器械はあの辺に据えつけてあった筈と傍らの木立の奥に目をやると、そこの小高くなった薄暗い空地に、ヒョッコリと新しい石碑が建っているのに気付いた。
オヤ、今まで度々庭を散歩したのに、ここにこんなものがあるのは、少しも知らなかった。変だなあ。あれはどうやら誰かの墓石らしいが、庭の真中に墓地があるなんて。
川手氏はいぶかしきまま、つい木立をかき分けて、そのじめじめした薄暗い中へ入って行った。近よって見ると、それはまだ磨いたばかりの真新しい墓石であることが分った。