Japanische Klassiker mit Furigana
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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
Lesen Sie 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.280 Zeichen · 301 Bildschirme
アア、何という怨恨、何という執念であろう。無残の最後をとげた父母の魂は、今この幼児の心の中に移り住んだのである。でなくて、幼い子供が、あの様な恐しい目をする筈がない。あのような気違いめいた表情をする筈がない。アア、恐ろしいことだ。
再び節穴に目を当てると、いつの間にか、台ランプが消えたらしく、そこは墨を流したような闇に変っていた。人声も途絶え、物の動く気配とても感じられなかった。
だが、あれは何だろう。闇の中に直径一丈程の丸いものが、巨大な月のように、ぼんやりと白んでいた。そして、見る見るそれがはっきりと輝いて行く。
節穴から目を放していた僅かの間に、正面に白い幕のようなものが垂れ下ったらしく感じられた。その幕の表面に、一丈の月輪が輝いているのだ。
初めは、その月の中の兎のように見えていた薄黒いものが、光の度を増すにつれて、もつれ合う無数の蛇に変って行った。オオ、そこにはあの無数の蛇が蠢いているのだ。蛇ではない、千倍万倍に拡大されたあの指紋が、……お化のような、あの三重渦状紋が。
「オイ、川手庄太郎、貴様の父親の旧悪を思い知ったか。そして俺の復讐の意味が分ったか」