Japanische Klassiker mit Furigana
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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
Lesen Sie 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.280 Zeichen · 301 Bildschirme
それを見ると、女が顔色を変えたのに引かえ、男の好奇心は一入激しくなりまさった。
彼はもう無言であった。何かしら重大な事件の中にまき込まれたという興奮のために、目の色が変っていた。彼は咄嗟の間に、嘗て愛読した探偵小説の中の、それに似た場面をあれこれと思い浮べていた。
ほの暗い行燈の下で、血染のハンカチが注意深く開かれて行った。
「何だか包んである」
男の声は、囁くように低かった。顔をくっつけ合った二人には、お互の鼻息が、異様に耳についた。
「怖いわ。よしましょう。捨てておしまいなさいな。でなければお巡りさんに渡した方がいいわ」
だが、男はもうハンカチを拡げてしまっていた。真赤に染まったハンカチの上に、何かしら細長いものが、鈎なりに曲って横わっていた。
「指だよ」
男が鼻息の間から喉のつまった声で囁いた。
「マア!」
女はもうお喋りをする元気もなく、行燈をそこに置いたまま、顔をそむけてしまった。
「女の指だよ。……根元から切取ってある」
男が憑かれた人のように、不気味な囁きをつづけた。
「指を切取って、川の中へ捨てなければならないなんて、これは一体どうした訳だろう。