Japanische Klassiker mit Furigana
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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
Lesen Sie 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.280 Zeichen · 301 Bildschirme
僕は川手氏に、北園弓子という名前に記憶はないかと訊ねて見ました。すると、川手氏は、その名をちゃんと記憶していたのです。幼い時分二三度家へ来た事のある知合の美しい女に、確かそういう名前のものがあったという答えでした。最早や何の疑う所もありません。竜子こそ川手氏のお父さんの妾腹の娘だったのです。犯人ではなくて、被害者の一人だったのです」
この時テーブルの一方に、ガタガタという音がしたので、一同その方を眺めると、真青になった宗像博士が、果し合いでもするような顔で突立っていた。立上る時、興奮の余り、つい椅子を倒したのである。
「明智君、実に名論です。しかし、それはあくまで名論であって、事実ではない。論理と空想の外には、現実の証拠というものが一つもないじゃないか。証拠を得ようにも、残念ながら竜子が死んでしまっているので、今更どうすることも出来やしない。
これで君の竜子が犯人でなかったという空想はよく分ったが、それじゃもう一人の犯人、あの眼帯の男の方は一体何者だね。これも犯人ではなくて被害者だったとでもいうのですか」
明智は少しも騒がず、にこやかに答えた。
「一種の被害者です。