Japanische Klassiker mit Furigana
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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
Lesen Sie 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 151.280 Zeichen · 301 Bildschirme
黒い影
光と云っては、その蚊帳の上に下っている青いカヴァーをかけた五燭の電燈ばかり。蚊帳の中は殆んど見すかせぬ程の暗さである。
「なんだろう。蚊帳の中に何かいるようじゃないか」
「いますよ。よく見えないけれど、何だか裸体の女のようですぜ。アア、真裸体です。それでこんなに暗くしてあるんですよ」
「なにをしているんだろう」
「殺されているんですよ。顎から胸にかけて、黒いものが一杯流れています。血です。裸体に剥がれて、惨殺された女ですよ」
「五体は揃っているようだね」
「エエ、そうのようです」
「髪は断髪じゃないかい」
「断髪ですよ」
「肉づきのいい、若い女だね」
話している内に、少しずつ目が慣れて、蚊帳の中の女の姿が浮上って来た。
「調べて見ましょうか」
「ウン、調べて見よう」
二人は意味ありげな目を見交した。何かツーンと痺れるような感じが、小池助手の背筋を這い上った。
二人は柵を越えて、無言のまま中に入り、膝を没する雑草を踏み分けて、荒屋の上に上って行った。そして、先ず博士が古蚊帳の裾に手をかけると、それをソッとまくり上げた。
黒い影
荒屋の縁側に上って、古蚊帳をまくると、天井に仕掛けた青い豆電燈の幽かな光を受けて、全裸の美女が、まるで水の底の人魚のように横わっていた。