Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せきべつ

惜別

太宰 治

Lesen Sie 惜別 (せきべつ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.984 Zeichen · 178 Bildschirme

Aozora Bunko

とさえ思われる。敬愛の念が、ぎくしゃくと奇妙に倒錯して、ついに、仙台あなどるべからず、とでもいうような「張り合う」気持などが出て来て、あんなまずい手紙を書いてしまったのではあるまいか。真面目な人が、へんに思いつめた揚句で書くと、あんな工合に書体も奇怪な金釘流になり易いものだし、また文章も、下手くそを極めるもののようである。要するに、まじめな人なのである。その頃、周さんが次第に学校の勉強に熱意を失いかけているのを見てとり、或いは自分があんな馬鹿な手紙を差し上げた事も、その周さんの不勉強の原因の一つになっているのではあるまいか、と非常に気にしているらしく、周さんに独逸語の大辞典を贈呈したり、宿題をひき受けてやったり、また、学校で講義を聴く時には、いつも周さんの隣りに座席をとって、何かと世話を焼いている様子であったが、しかし、周さんは、藤野先生をはじめ、そのような皆の懸命の努力にも拘らず、やはり、まもなく私たちから去って行った。

あれは、たしか二学年の終りの頃の事であったと思う。雪も消えて、榴ヶ岡の枝垂桜も咲きはじめ、また校庭の山桜も、ねばっこい褐色の稚葉と共に重厚な花をひらいて、私たちはそろそろ学年末の試験準備に着手していた頃であった。