Japanische Klassiker mit Furigana
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ばしゃ
愛の挨拶・馬車・純粋小説論
横光 利一
Lesen Sie 愛の挨拶・馬車・純粋小説論 (ばしゃ) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.699 Zeichen · 78 Bildschirme
しかし、由良は信者のそばまで泳ぎついたものの、さて何を彼に云っていいか分らぬので、自然にまたあの学者のことが口から出て、いったいどこにいつもあの人はいるのかと訊いてしまうと、これはしまったと思うと同時にもうまた、にやにや微笑がうかんで来ておさえることが出来なくなった。信者は由良にその学者は橋をわたった向うの大宮という旅宿にいると云うと、直ぐ湯から出ていそいで着物を着はじめた。由良はもう信者を追っていくことは断念したが、いまあの信者に自分が狂人でないと知らせることは、考えれば考えるほどこれはなかなか大事業だと思われた。何か云うしりからこんなに意味もない微笑が浮んで来ては、何を云っても向うは信用してくれないのに定っているし、そうかと云って、いくら自分を狂人ではないと説明したところで、一度そうだと信じ込ませてしまった以上は、もうよほど優れた医者か機械のない限り駄目なのだ。だが、ふと由良はあの信者を信用させるには、「枕」のことを話するにかぎると気が附いた。枕のことを話し出せば、向うも「枕」にかけてはたしかに幾らか狂人じみているのだから、こちらの枕の話に乗り出して自分の正確な頭を感じてくれるにちがいない。