Japanische Klassiker mit Furigana
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ばしゃ
愛の挨拶・馬車・純粋小説論
横光 利一
Lesen Sie 愛の挨拶・馬車・純粋小説論 (ばしゃ) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.699 Zeichen · 78 Bildschirme
感覚触発の対象
それは曾ては芸術的なるものの一つの別名であり、時としてまた芸術そのものの別名ともなっていた。だが今はそうであってはならぬ。それのみが芸術的でありまた芸術としては赦されない。少くとも文学なるものは、少くとも文学は風流そのもののごとく生活の感覚化を欲してはならぬ。それを欲することは自由である。だが、欲することはより良き一つの芸術的生活を意味しない。かの風流の達人として赦された芭蕉の最後の苦痛は何んであったか。曾ては彼があれほども徹した生活の感覚化への陶酔が、彼にあっては終に自身の高き悟性故に自縛の綱となった。それが彼の残した大いなる苦悶であった。此の潜める生来の彼の高貴な稟性は、終に彼の文学から我が文学史上に於て曾て何者も現し得なかった智的感覚を初めて高く光耀させ得た事実をわれわれは発見する。かくしてそれは、清少納言の官能的表徴よりも遥に優れた象徴的感覚表徴となって現れた。それは彼が自己の生活を完全に感覚化し得たるが故ではない。それは彼が常にその完全な生活の感覚化から、他の何者よりもより高き生活を憧憬してやまなかった心境から現れたものに他ならない。
感覚触発の対象