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Japanische Klassiker mit Furigana

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あいよあい

愛よ、愛

岡本 かの子

Lesen Sie 愛よ、愛 (あいよあい) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.138 Zeichen · 99 Bildschirme

Aozora Bunko

私はそれを見つけて見る見る憂鬱になってしまいました。私に附き添って居た者が気がついて私を診察室の方へ連れて這入ろうとした時に、廊下の突き当りの中庭を隔てた一棟の病房から、けたたましい狂女のあばれ狂う物音が聞こえ始めました。茲にもたわわに咲きたわんだ桜の枝の重なる下――その病房の一つの窓が真黒く口を開けて居りました。そこからかすかに覗われる井の中の様な病房の奥に二人三人の人間の着物の袖か裾かが白くちらちらと動いて見えました……私はあわてて目を逸らしました。あわてた視線が途惑って、窓辺の桜に逸れました。私はぞっとしました。その桜の色の悽愴なのに。

ずっと前の或夜、私は友の家の離れの茶室に泊りました。私は夜中にふと目をさましました。戸の外を、桜樹立がぐるりと囲む……桜が……しんしんと咲き静まった桜樹立が真夜中に……棟を圧して桜樹立が……桜樹立がしんしんと……私は、ぞっとして夜具をかぶった。

私はあくる日の朝日がたけて、その部屋のまわりの桜樹立が明るくあたりにかがやくころ目をさました。私の体は夜具の底にかたく丸まり、じっくりと汗になって居ました。