Japanische Klassiker mit Furigana
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あいしょへき
愛書癖
辰野 隆
Lesen Sie 愛書癖 (あいしょへき) von 辰野 隆 (たつのゆたか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.404 Zeichen · 23 Bildschirme
彼は自分の癖を勘付かれたので、其後は大いに慎しむようになった。或日、パリから二人の検査官、ベケーとクルトワと云うのが、ランスの図書館視察に来る事になった。すると、例の男が、私に此度来るベケーと云う奴が、仲々の曲者だから用心しろと商売敵が憎らしいと云うような目付をしながら教えて呉れた。当日になって、私は二人の検査官を書庫に案内して歩いている間も、ひたすら警戒怠らなかった。然るに不図気が付くと何時の間にか、一冊の稀覯書が、心覚えをして置いた書架から無くなっている。『やられたな』と思って、私は二人を玄関のホール迄送って来た時『実は今、珍本が一冊紛失した。三人のうち誰かがそれを持っている。先ず私から調べて頂き度い』と私は云った。私から始めて、次にクルトワを調べ更にベケーを調べようとすると、ベケーは苦笑しながら、ポケットから盗んだ珍本を取出して私に渡したが、彼は別のポケットから更に一冊取出して、『何故此の本も、ついでに用心しないのだ』と云って一度に二冊返してくれた。」
十七世紀のフランスの肖像画家ダニエル・デュムーチエにも盗癖があった。彼は盗む事は好きであったが盗まれるのは嫌いだったと見えて、彼の書斎の入口には「書籍借用者は悪魔に食われて了え」