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Japanische Klassiker mit Furigana

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つきもの

憑きもの

豊島 与志雄

Lesen Sie 憑きもの (つきもの) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.983 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

広大な火口の中、それはいくらも飛ばず、ひらりと白く光っただけで、すぐ近くに落ち、火口壁に隠れて、音もなく行方も分らず消え失せてしまった。

「危ない。」

突然、思いがけなく、その感じに私は虚を衝かれた。くるりと向きを変えて、火口から歩み去り、また岩かげに腰を下した。淋しくて惨めだった。何もかも頼りなかった。後からついて来た秋子を招き寄せて、私はその膝に顔を伏せた。何もかも頼りないのだ。憑いてくれ、しっかりと憑いてくれ、そうでないと、俺は淋しいんだ。しっかり憑いていてくれ。そんなことを心の中で言いながら、私はますます惨めになった。

憑くという意味が、全然別なものになってることを、私は知っている。だが、それでよろしい。秋子を火口の中に突き落すようなことは、私にはもう出来ない。憑かれるのを嬉しがってるのだ。顔を挙げて彼女を見ると、彼女も私の眼にひたとその眼眸を押しつけてくる。何も見ていない白痴の眼だ。私は溜息をついた。先刻の一瞬、生々と蘇った彼女の眼のことを、私は思い出した。

冒険をしてやろう。

「追分口の方へ降りてみようか。」と私は言った。

「道がありますの。