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Japanische Klassiker mit Furigana

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つきもの

憑きもの

豊島 与志雄

Lesen Sie 憑きもの (つきもの) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.983 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

危なかった。私は彼女を火口の中に突き落すか、一緒に飛びこむか、どちらかを遂行したかも知れない。遂行、そうだ、前からその計画が胸に萌していたようでもある。浅間山麓に行こうと誘った時から、或は、登山しようと言い出した時から、無意識のうちにその思いがなかったであろうか。有ったとも無かったとも言えない。だがあの時は全く、危険な瞬間だった。あの決定的な瞬間に、私が彼女を引き戻したのは、なぜか。危険だったからと、循環するより外はない。その危険を避けたのは、私の弱さであろうか、愛情であろうか、本能であろうか。

然し、そのような思いも、既に回顧にすぎない。不安はすぐに去って、太平な気持ちになる。山の上で海苔巻などを頬張ってるのは、よいことである。

「ずいぶんたくさんあるね。」

「またあとで食べましょうか。」

「いや、すっかり平らげてしまおう。」

ゆっくり食べ、ゆっくり飲み、そして煙草を吸った。

「ああ腹が一杯だ。」

立ち上って、また噴火口を覗きに行った。太陽もだいぶ昇り、白昼の火口は、ただ巨大な鍋の中を見るようなものだった。私はからのサイダー瓶を、力いっぱいに投げこんだ。