Japanische Klassiker mit Furigana
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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme
用いぬこともございませんが、掛引だの、ペテンだのってえものは、ひっかかるような相手にしか通用しないもので、占領作戦の最中に、そんなことをやったことがわかったら、たちまち沖繩へ島流しになって、重労働十年、てなことになっちまいます。ええ、その辺のところは、ご信用をねがって……それで、早速ですが」
と本題に入りかけると、太田夫人は横からひったくって、
「石田さん、このとおり、さっぱり頭のない男やで、なにをいうとるのか、わからんでしょう。通じないところは、わしが代弁しますが、ここはあまり端近かやね。奥へ行って、ゆっくり話そやないですか」
石田氏は嫌気になって、投げだすことしか考えにないらしく、百々子に、
「あれがいるだろう。あれを呼んで来い」
と気のない調子でいいつけた。
「あれは、千々子さまと早くからお出かけになりましてございます。お帰りは、夕方になると、おっしゃっていらっしゃいました」
「居ないのか。居ないなら、しょうがない」
ぬうっとした恰好で立ちあがると、二人を連れて、広廊の端の千々子さまのサロンへ入って行った。
間もなく、こんなことをいっている太田夫人の声が聞えた。