Japanische Klassiker mit Furigana
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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme
もと改進党の代議士だった隣家の太田夫人と、アメリカ工学士と自称する土建屋のヘンリ清水は、近く、アメリカから千々子さまのお手をとりにくる、シュラー・ハークネスという、ロックフェラー級の大財閥をつかまえ、石田家の洋館を本拠にして、なにか事をあげようとしている。どちらも、よく頭のまわる機敏な連中だから、仕掛けただけのことは、かならずやるのだろうが、アメリカのパン種などに、たいして食欲を感じない五十雄君や百々子までが、いつの間にか、ひと旗の片棒を担いでいるかたちになっているのは、遺憾であった。
その朝、洋館の屋根が抜けたのを最初に発見したのは、かくいう百々子だった。
ひきつづく長雨で、石田氏の飼っている錦鯉の子供が、プールから泳ぎだしそうになったので、雨着を着てかまいに行った帰り、洋館の下までくると、二階の東側の窓ガラスを破って、窓幅だけの水が、すごい勢いでふきだしてきた。
百々子は物好きだから、五十雄君を誘って見物に行った。
翼のように東に張りだした洋館と、こちらの御所造りの境目に重い樫扉がある。ヘンリ清水が設営にかかった日から、ずっと〆切りになっていたが、家もこれくらい年代が経つと、合鍵などはどこにでもころがっているもので、もと伴待ちだった部屋の鍵箱から合鍵をさがして、わけなく、そちらへ入りこんだ。