Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

Lesen Sie 我が家の楽園 (わがやのらくえん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 90.195 Zeichen · 175 Bildschirme

Aozora Bunko

「あなたはまァ、いつまで、そんながらくたをいじくりまわしているんです? 渋谷の生活とちがうんですから、あまりぐだぐだしないでちょうだい」

「なんですか」

「いまチャイム・ベルが鳴ったでしょう」

「そんなものは聞かなかった。お鍋を叩く音なら聞いたけど……あれがチャイム・ベル?」

「うるさいわね。ご夕食ですから、お食堂へおりていらっしゃい」

「はてな……食堂って、どの部屋のことでしょう?」

「おぼえておいてちょうだい。食堂というのは、長持部屋のことなの」

アメリカの借家人は、もと長持部屋といっていた用途不明の一室をどういう向きに使ったのか、床は嵌木のモザイックにして、なまめかしい桃色の壁付灯をつけ、天井の漆喰は、首の長い白鳥と、腹の膨れたストリップの女神を組合わした、いかがわしい浮上げ模様になっていた。

「結構ですね」

「なんでもいいから、さっさと手を洗っていらっしゃい」

それで、急にやさしい、砕けた調子になって、

「あなたの顔って、見れば見るほど、眼ざわりになるような、ふしぎな顔ね……なんだか、だんだん嫌いになるみたいだわ」

と、ニッコリ笑って、階下へ降りて行った。