Japanische Klassiker mit Furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Lesen Sie 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.728 Zeichen · 231 Bildschirme
津村信夫はだから偉い父をあいしていた。偉い法学博士の秀松さんはこの肥っちょの次男坊のために、就職口を捜してやり、次男坊信夫は就職先をいつの間にか無断で辞職して、詩や小説というものを書いて、秀松博士を唖然とさせたが、しまいには秀松博士は暮らしの金を与えて好きな事をさせていた。次男坊は詩というものを書いて、とうとう半人前から一人前になり、一人前からすぐれた詩人にかぞえられ、その詩の中で父というものの肖像画を何枚も描いて、そうして三十六歳でいちはやく死んでいた。かれはこの世に笑いと詩とをのこし、愛妻昌子と、一女初枝とに何やら普段からたくさんの笑い話を言いのこして行った。立原道造は二十六歳で死去したが、立原道造から十年生きのびただけであった。
父が庭にゐる歌
父を喪つた冬が
あの冬の寒さが
また 私に還つてくる
父の書斎を片づけて
大きな写真を飾つた
兄と二人で
父の遺物を
洋服を分けあつたが
ポケツトの紛悦は
そのままにして置いた (後略)
夕暮
食卓の上に燈を置いて 母親のヱプロン着の姿が しばらく窓際に見られた
昔 三人の子供が 円い卓をかこんだとき 皆の小さな手は三つ合せても 父の手にかなはなかつたが――