Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

あるおんな

或る女

有島 武郎

Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.981 Zeichen · 295 Bildschirme

Aozora Bunko

古藤は葉子の顔を見るのを避けるように、そこらに散らばった服地や帽子などをながめ回して、なんと返答をしていいのか、いうべき事は腹にあるけれども言葉には現わせないふうだった。部屋は息気苦しいほどしんとなった。

葉子は自分の言葉から、その時のありさまから、妙にやる瀬ないさびしい気分になっていた。強い男の手で思い存分両肩でも抱きすくめてほしいようなたよりなさを感じた。そして横腹に深々と手をやって、さし込む痛みをこらえるらしい姿をしていた。古藤はややしばらくしてから何か決心したらしくまともに葉子を見ようとしたが、葉子の切なさそうな哀れな様子を見ると、驚いた顔つきをしてわれ知らず葉子のほうにいざり寄った。葉子はすかさず豹のようになめらかに身を起こしていち早くもしっかり古藤のさし出す手を握っていた。そして、

「義一さん」

と震えを帯びていった声は存分に涙にぬれているように響いた。古藤は声をわななかして、

「木村はそんな人間じゃありませんよ」

とだけいって黙ってしまった。

だめだったと葉子はその途端に思った。葉子の心持ちと古藤の心持ちとはちぐはぐになっているのだ。なんという響きの悪い心だろうと葉子はそれをさげすんだ。