Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.981 Zeichen · 295 Bildschirme

Aozora Bunko

六

「きょうのお立て替えをどうぞその中から……あすはきっといらしってくださいましね……お待ち申しますことよ……さようなら」

といって自分ももう一つの車に乗った。葉子の紙入れの中には正金銀行から受け取った五十円金貨八枚がはいっている。そして葉子は古藤がそれをくずして立て替えを取る気づかいのないのを承知していた。

六

葉子が米国に出発する九月二十五日はあすに迫った。二百二十日の荒れそこねたその年の天気は、いつまでたっても定まらないで、気違い日和ともいうべき照り降りの乱雑な空あいが続き通していた。

葉子はその朝暗いうちに床を離れて、蔵の陰になつた自分の小部屋にはいって、前々から片づけかけていた衣類の始末をし始めた。模様や縞の派手なのは片端からほどいて丸めて、次の妹の愛子にやるようにと片すみに重ねたが、その中には十三になる末の妹の貞世に着せても似合わしそうな大柄なものもあった。葉子は手早くそれをえり分けて見た。そして今度は船に持ち込む四季の晴れ着を、床の間の前にあるまっ黒に古ぼけたトランクの所まで持って行って、ふたをあけようとしたが、ふとそのふたのまん中に書いてあるY・Kという白文字を見て忙しく手を控えた。