Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.981 Zeichen · 295 Bildschirme

Aozora Bunko

「しばらくでしたのね……とうとう明朝になりましてよ。木村に持って行くものは、一緒にお持ちになって?……そう」

と軽い調子でいったので、五十川女史と叔父とが切り出そうとした言葉は、物のみごとにさえぎられてしまった。葉子は古藤にそれだけの事をいうと、今度は当の敵ともいうべき五十川女史に振り向いて、

「おばさま、きょう途中でそれはおかしな事がありましたのよ。こうなんですの」

といいながら男女をあわせて八人ほど居ならんだ親類たちにずっと目を配って、

「車で駆け通ったんですから前も後もよくはわからないんですけれども、大時計のかどの所を広小路に出ようとしたら、そのかどにたいへんな人だかりですの。なんだと思って見てみますとね、禁酒会の大道演説で、大きな旗が二三本立っていて、急ごしらえのテーブルに突っ立って、夢中になって演説している人があるんですの。それだけなら何も別に珍しいという事はないんですけれども、その演説をしている人が……だれだとお思いになって……山脇さんですの」

一同の顔には思わず知らず驚きの色が現われて、葉子の言葉に耳をそばだてていた。先刻しかつめらしい顔をした叔父はもう白痴のように口をあけたままで薄笑いをもらしながら葉子を見つめていた。