Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.981 Zeichen · 295 Bildschirme
た。丸髷に結ったり教師らしい地味な束髪に上げたりしている四人の学校友だちも、今は葉子とはかけ隔たった境界の言葉づかいをして、昔葉子に誓った言葉などは忘れてしまった裏切り者の空々しい涙を見せたりして、雨にぬらすまいと袂を大事にかばいながら、傘にかくれてこれも舷梯を消えて行ってしまった。最後に物おじする様子の乳母が葉子の前に来て腰をかがめた。葉子はとうとう行き詰まる所まで来たような思いをしながら、振り返って古藤を見ると、古藤は依然として手欄に身を寄せたまま、気抜けでもしたように、目を据えて自分の二三間先をぼんやりながめていた。
「義一さん、船の出るのも間が無さそうですからどうか此女……わたしの乳母ですの……の手を引いておろしてやってくださいましな。すべりでもすると怖うござんすから」
と葉子にいわれて古藤は始めてわれに返った。そしてひとり言のように、
「この船で僕もアメリカに行って見たいなあ」
とのんきな事をいった。
「どうか桟橋まで見てやってくださいましね。あなたもそのうちぜひいらっしゃいましな……義一さんそれではこれでお別れ。ほんとうに、ほんとうに」
といいながら葉子はなんとなく親しみをいちばん深くこの青年に感じて、大きな目で古藤をじっと見た。