Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
それほど父は高価な菜種油を惜まなかった。父自身も、
「お燈明は仏の御馳走だ。」と言っていた。
しかし境内の二基の瓦斯燈は、ときとすると下男のいないときは、いつも私が点さなければならなかった。
私が読書などしていて午後五時ごろになると、もう父のお燈明配りが始まっていた。幾十年来点しつけているその手つきは枯れたものであった。新しい燈心草を土器に挿すと、油壺は静かに寛くその土器にそそがれ、そしていつも点火された。それは実に静かで、いかにも清浄な仕事で私は見ていていつも感心していた。
襖襖がすーと音がして開いたり閉ったりすると、足袋ずれが次の室から次の室へと遠のいて行って、そのたびに、一つ一つの室に新しい燈明がぱっちりとあかるく点されてゆくのであった。それを見ていると、まだそとが明るいけれど、もう晩になったような気がしてくるのであった。
私はよく夕方境内を歩くことがあった。幾抱えもある大きな栂が立っていて、どんなに雨が降ってもその根元を湿すことがなかった。その下に迷い子の墓碑があって、子供が道に迷ったりすると、この墓碑に祈願すれば、ひとりでに子供の迷うている町が判るといわれている苔蒸したこの墓碑は、いつも私が佇んだり凭れたりするに都合がよかった。