Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
廓に近い界隈だけに、夕方など、白い襟首をした舞妓や芸者がおまいりに来たりした。桜紙を十字にむすんだ縁結びを、金毘羅さんの格子に括ったりして行った。その縁結びは、いつも鼠啼きをして、ちょいと口で濡してする習慣になっているらしく、私はその桜紙に口紅の烈しい匂いをよく嗅ぎ分けることができた。そのうすあまい匂いは私のどうすることもできない、樹木にでも縋みつきたい若い情熱をそそり立て、悩ましい空想を駆り立ててくるのであった。
私の幼年のころ川から拾い上げた地蔵尊は、境内の堂宇に納っていた。私はそこへゆくといつも姉を思い出した。姉は間もなく隣国の越中へ行って、永く会わなかった。あの小さい姉とこの地蔵尊のお祭りしたことも、いつも、そのころ建てた流れ旗や三宝や仏器が今もこの堂宇に納っているのを見ると、私が寺院に貰われて来たことにも、みな深い因縁があるように思われた。行方不明になった母は、死んだという人もあり、まだ生きているという人もあったが、死んだ方がたしかに事実らしかった。父が法名を書いてくれて仏壇に納めてあった。父が法名を書いてくれた日を命日として、私は心まで精進していた。