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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるしょうじょのしまで

或る少女の死まで 他二篇

室生 犀星

Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme

Aozora Bunko

彼女はさっぱりした姿で、紅い模様のある華美な帯をしめていた。彼女はいきなり板敷の上に坐ると、あたりを見廻した。格子の内部は暗い内陣になっていたので、そこを透して誰かいるかと見ていたが、こんどは境内を見渡した。夏のことで暑いさかりの参詣人も途絶えて、湧くような蝉時雨が起っているばかりであった。彼女は一本の釘をとり出した。そして母親のする通りに錠穴から挿し込んで、逆にねじあげると、錠はかっちんと鳴って、賽銭箱から離れた。彼女は自分でその音に驚いたように非常に蒼白い顔をして、あたりを丁寧に見廻した。誰か不意に参詣人が来はしないかという懸念や、本堂の内部から見ていはしないかという心配に、何者かのけはいに聞耳を立てていたが、その白い手は夥しく震えているのが私の方からも見えた。その指はすんなりと長くて肥って、一本一本の関節がうす紅くぼかしたようになって小さい可愛い靨さえ浮いていた。

私はそのとき、どうしたはずみであったか、戸板に額をふれさせたので、重い戸板がことんと音を立てた。そのとき、彼女は吃驚していきなり戸板の方を凝視した。ちょうど私の覗いている節穴の正面に、しかも一生懸命になっている烈しい恐怖におそわれた、ありとあらゆる不安をあつめた彼女の大きな眼は、むしろ凄艶な光をたたえてじっと私の額に熱い視線を射りつけ