Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
その効果はすぐに現われた。記帳場の年寄は、
「このごろ来なくなったようですよ。本当にいい工合だ。」
そう言うのを聞いて、私はひとりで苦笑した。しかし、ここに困ったことは三日や四日はゴマ化したものの、毎日そう小遣が私に無かったために、父に毎日のようにこの間から貰っているので、言いにくかった。と言って賽銭箱の方を打っちゃって置くわけにもゆかなかった。ある日、父の金箪笥の中から少額ではあったが、銀貨や銅貨をとり出した。箪笥の中は紙幣やら銀貨やらで、だらしなくなっていたので判りそうもなかった。味をおぼえて次の日もこんどは紙幣の束からそっと幾枚かを抜き出した。そしてくずしては例の箱の中へ入れておいた。私は重い金箪笥に手をかけるときその金具ががちゃがちゃ鳴るのを気にしながら、いつも人の善い父の微笑を思い出した。ことに、少年として過分な小遣を貰っているのに、いつも小言一つ云わないでくれる父を、私は私の盗みをするときにのみ「済まないな」と切にかんじた。しかし私にはそうするより外に方法がなかった。それは彼女の盗みの埋め合せばかりでは無くなって、だんだん自分の用途にも使うようになっていた。