Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
」
こんどは優しく言った。優しく言われると、あんなに強情を言うんじゃなかったと、すまない気がした。
「え。もう行きません。」
「時時行くならいいけれどね。なるべくは、ちゃんとお家においでよ。」
「え。」
「これを持っておへやへいらっしゃい。」
母は私に一と包みの菓子をくれた。私はそれを持って自分と姉との室へ行った。
母は叱るときは非常にやかましい人であったが、可愛がるときも可愛がってくれていた。しかし私はなぜだか親しみにくいものが、母と私との言葉と言葉との間に、平常の行為の隅隅に挟まれているような気がするのであった。
姉は嫁入さきから戻っていた。そして一人でいつも寂しそうに針仕事をしていた。私は机の前に坐って黙っておさらいをしていた。
「姉さん。これをおあがり。」
私はふところから杏をとり出した。美しい果実はまだ青い葉をつけたまま其処辺に幾つも転がって出た。
「まあ。おさとから採っていらしったの。」
「ええ。たいへん甘いの。」
「では母さんには秘密ね。」
「そう。いまおさとへ行ったって叱られちゃったところさ。」
姉はだまって一つ食べた。姉は一日何も言わないでいた。