Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるしょうじょのしまで

或る少女の死まで 他二篇

室生 犀星

Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme

Aozora Bunko

私はたえず不安な、胸の酸くなるような気で学課のはてるのを待った。それは先生が私の読み方一つが違っていても、他のものが間違っていてはそうではなかったが、私だけはいつも居残りを命ぜられたからであった。「今日もやられるかなあ。」と考えていると、きっと、

「室生、かえってはいけない。」と居残りの命令にあった。

私のちょいとした読みちがいでもそうだ。ことに喧嘩から疑われて一週間も教室に残されたことは、殆んどいつものことであった。私の犯さない罪はいつも私の弁護する暇なく私の上に加わっていた。私は誰にも言いたいだけの弁解ができなんだ。

私の教室の寂しいがらんとした室内に、一時間も二時間も先生がやって来て「かえれ」というまで立っていなければならなかった。学友の帰って行く勇ましい群が、そこの窓から町の一角まで眺められた。みな愉快な、喜ばしげな、温かい家庭をさして行った。かれらの帰って行くところに彼らの一日の勉学を酬ゆるための美しい幸福と慰藉とが、その広い温かい翼をひろげているようにさえ思われた。私はそとの緑樹や、家にいる姉の優しい針仕事のそばで話しする愉快を考えて、たえず兎のように耳を立て、今にも先生が来てかえしてくれるかと、それを一心に待っていた。