Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
父の愛していた白という犬が、いつも私のそばへふらふらやって来た。毛並のつやつやしい純白な犬であった。
ある日、私は実家へゆくとゴタゴタしていて、大勢の人が出たり入ったりしていた。母は私にお父さんの弟さんが越中から来たのだと言っていた。四、五日すると母がいなくなって、見知らない人ばかりいた。母は追い出されたのであった。
母は私にも別れの言葉もいうひまもなかったのか、それきり私は会えなかった。母は父の小間使だったので、父の弟が追い出したことが分った。私はあの広い庭や畠を二度と見ることができなかった。いつも茶の間で長火鉢で向い合って話した上品なおとなしい母はどこへ行ったのだろう。私は母にも姉にも黙っていた。母はそのことを口へも出さなかった。私はひまさえあれば、白をつれて町を歩いていた。
「シロ! 来い。」
父が亡くなってから、ねむるところもないこの哀れな生きものは、何人よりも私を好いていたらしかった。私はこの生きものと一緒にいると、何かしら父や母について、引き続いた感情や、言葉の端端を感じ得られるのであった。私はどこかで母にあいはせぬかと、小さい心をいためながら、あるときはずっと遠くの町まで歩きまわるのであった。