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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるしょうじょのしまで

或る少女の死まで 他二篇

室生 犀星

Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme

Aozora Bunko

――私は母とあの広い庭へ出て茶摘みをしたり、庭で父と三人でお菓子をたべたりしたことが思い出された。初夏の風はいつも若葉の匂いをまぜて吹いていた。私は小さな顔をかしげるようにして、父と母の顔を半分ずつに眺めていた。隔たりのない総ての親密さが私達親子の上にあった。そんなとき、シロも傍の草のなかにねむっていた。

「お前はいったい成人して何になるか。」

父はよく笑顔でたずねた。

私はだまってにこにこしていた。

「さあ、この子は考えることが上手だから必然先生にでもなるかもしれない。――ね。お前そう思わないかい。」と母は言った。

「僕なにになるか分らないんだ。何かこう偉い人になりたいなあ。」

私は本当に何になっていいか分らなかった。

「そうだ。ともかくも偉い人間になれ。その心掛けが一番いいんだ。」

「そうね。それがいい。」と母も言った。

私も目的のない漠然とした意志のもとに、ともかくも「偉い人」になりたいと思っていた。しかし軍人のきらいだった私は、それ以外に偉い人になりたいと思っていた。

「さあ。もうすこしで摘んでしまえるんだから、やって仕舞おう。」

「ええ。」

こうして父と母とは茶畠の中へ、あの美しい芳しい若芽をつみに行った。