Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
きっとそのうち姉さんが行くからね。」
「きっとね。」
「え。きっと行きますとも、シロはまあ嬉しそうにして――。」
シロは姉の裾をくわえて、久しく見なかった主人にじゃれついていた。
「じゃ僕かえろう。」
私はこんなところで姉と話しているのを家の人に見られると、姉があとで困るだろうと思って、帰りかかった。
「そうおかえり? また今度姉さんが行きますからね。それまでおとなしくして待っていて下さいな。」
「いつごろ来てくれるの。」
「そりゃまだ分らないけれどもきっと行きますわ。誓ってよ。指切をしましょうね。」
姉は私の手をとった。
私はにっこりしてあたりを見廻した。誰か見てはいはしないだろうかと、しきりに懸念された。
姉は、ずっとむかし子供の時にやったように、小指と小指とをお互いに輪につくって、両方で引き合うのであった。
この子供らしい冗談のような些事ではあったが、何かしら私ら姉弟にとって神聖な信ずべき誓いのように思われていた。
「じゃ、さよなら。」
と私は姉のそばをはなれた。
「道草をしないでおかえりなさいな。」
「ええ。」
私は川岸のはだらに消えかかった道を行った。片側町なので誰も通らなかった。