Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
二人はいつの間にか池の端へ出た。もう蓮はやぶれ初めて、水分をふくんだ風はすこし寒さをかんじた。
広小路で二人は別れた。二、三歩すぎると、Sは思い出したように、つと走って来て、
「今夜は握手して別れよう。ね、いいだろう。」
「よかろう。」
二人は鍵のように握手した。
私はいつもふじ子をボンタン、ボンタンと呼んでいた。なぜかしら、そう呼んだほうがこの少女の心持が出ているような気がしてくるからであった。
「ボンタン。お出で。」
庭に出ている彼女を呼ぶと、いつも定って、
「ボンタン、なあに。」
向うでもボンタンをくりかえして私を呼ぶのであった。
「おかあさん。妾のことをおじさんがね。ボンタンだって、おかしいわね。」
彼女は、よく笑って母親に言っていた。
それからまた私が勉強していると、すぐ窓のところへ来て、
「ボンタンなにしているの。」などと言うことがあった。
「おじさん。妾、鹿児島へかえったらきっとボンタンを送ってあげてよ。お父様にそう言ってね。きっと。」
彼女は約束した。
「皮をむくと、なかが紫になっていて、そりゃいい匂いがしてよ。おじさんはたべたことがあって――。