Japanische Klassiker mit Furigana
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あるかたきうちのはなし
或敵打の話
Lesen Sie 或敵打の話 (あるかたきうちのはなし) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.276 Zeichen · 19 Bildschirme
敵打の初太刀は自分が打ちたい。万一甚太夫に遅れては、主親をも捨てて一行に加わった、武士たる自分の面目が立たぬ。――彼はこう心の内に、堅く思いつめていたのであった。
松山へ来てから二月余り後、左近はその甲斐があって、ある日城下に近い海岸を通りかかると、忍駕籠につき添うた二人の若党が、漁師たちを急がせて、舟を仕立てているのに遇った。やがて舟の仕度が出来たと見えて、駕籠の中の侍が外へ出た。侍はすぐに編笠をかぶったが、ちらりと見た顔貌は瀬沼兵衛に紛れなかった。左近は一瞬間ためらった。ここに求馬が居合せないのは、返えす返えすも残念である。が、今兵衛を打たなければ、またどこかへ立ち退いてしまう。しかも海路を立ち退くとあれば、行く方をつき止める事も出来ないのに違いない。これは自分一人でも、名乗をかけて打たねばならぬ。――左近はこう咄嗟に決心すると、身仕度をする間も惜しいように、編笠をかなぐり捨てるが早いか、「瀬沼兵衛、加納求馬が兄分、津崎左近が助太刀覚えたか。」と呼びかけながら、刀を抜き放って飛びかかった。が、相手は編笠をかぶったまま、騒ぐ気色もなく左近を見て、「うろたえ者め。